オープンソースライセンス比較表
| ライセンス名 | 商用利用 | ソースコード公開義務 | 派生物への同ライセンス適用 | 著作権表示義務 | 特許条項 | 主な特徴・注意点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| MIT | ✅ 可能 | ❌ 不要 | ❌ 不要 | ✅ 必要 | ❌ なし | 最も緩やかなライセンス。元のライセンス文と著作権表示の維持のみ必要。独自ライセンスでの再配布可能。 |
| Apache 2.0 | ✅ 可能 | ❌ 不要 | ❌ 不要 | ✅ 必要 | ✅ あり | 特許権の明示的な許諾条項あり。変更した場合は変更箇所の明記が必要。 |
| BSD (3-Clause) | ✅ 可能 | ❌ 不要 | ❌ 不要 | ✅ 必要 | ❌ なし | 著作権表示と免責事項の維持が必要。比較的緩やかなライセンス。 |
| GPL v3 | ✅ 可能 | ✅ 必要 | ✅ 必要 | ✅ 必要 | ✅ あり | 最も制約が強い。派生ソフトウェアも同じGPLライセンスで公開する必要がある(コピーレフト)。ソフトウェア特許に対する保護条項あり。 |
| LGPL v3 | ✅ 可能 | 条件付き | 条件付き | ✅ 必要 | ✅ あり | ライブラリとしてリンクするだけなら派生物のソースコード公開義務なし。ライブラリ自体の改変時はソースコード公開必要。 |
| AGPL v3 | ✅ 可能 | ✅ 必要 | ✅ 必要 | ✅ 必要 | ✅ あり | GPLの強化版。ネットワーク上でサービス提供する場合もソースコード公開が必要。SaaS提供の場合も対象となる。 |
| MPL 2.0 | ✅ 可能 | 条件付き | 部分的 | ✅ 必要 | ✅ あり | ファイルベースのコピーレフト。MPLコード含むファイルのみMPLで公開義務あり。他のコードは別ライセンス可能。 |
| EPL 2.0 | ✅ 可能 | 条件付き | 部分的 | ✅ 必要 | ✅ あり | コピーレフト型だが、条件付きで商用可能。モジュール単位での保護。 |
| CDDL | ✅ 可能 | 条件付き | 部分的 | ✅ 必要 | ✅ あり | ファイルベースのコピーレフト。MPLに類似。 |
| Unlicense | ✅ 可能 | ❌ 不要 | ❌ 不要 | ❌ 不要 | ❌ なし | パブリックドメイン相当。著作権放棄を意図したライセンス。著作権表示も不要。 |
主要なライセンスの詳細解説
寛容(パーミッシブ)型ライセンス
- MIT: 最も制約が少なく、著作権表記と同ライセンスのコピーを含める限り、商用利用、改変、配布、サブライセンスが可能。
- Apache 2.0: 特許権の明示的な許諾条項を含む。変更点の明記が必要だが、ソースコード公開は不要。
- BSD: 著作権表示と免責事項の維持を要求。比較的自由度が高い。
コピーレフト型ライセンス
- GPL v3: 派生作品も同じGPLで公開する必要あり。商用利用自体は可能だがソースコード公開義務あり。
- LGPL v3: ライブラリをリンクして使用する場合、自作コードのソース公開は不要。ライブラリ自体の改変時は公開必要。
- AGPL v3: ネットワーク経由でサービス提供する場合も対象。クラウドやSaaSでソフトウェアを提供する際は注意が必要。
商用利用時の注意点
- GPL系ライセンスのソフトウェアを使用する場合、派生物のソースコードを公開する義務が発生する可能性がある
- 複数のライセンスを組み合わせる場合、ライセンスの互換性に注意が必要
- 社内利用のみでも、AGPLはネットワーク越しの提供でソースコード公開義務が発生
- ライセンス違反は著作権侵害となり、法的責任が問われる可能性がある
- 商用利用可能でも、商標権などの別の知的財産権に注意が必要
ライセンスの互換性表
| ライセンス | MIT | Apache 2.0 | BSD | GPL v3 | LGPL v3 | AGPL v3 | MPL 2.0 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| MIT | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ |
| Apache 2.0 | ❌ | ✅ | ❌ | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ |
| BSD | ❌ | ❌ | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | ❌ |
| GPL v3 | ❌ | ❌ | ❌ | ✅ | ❌ | ✅ | ❌ |
| LGPL v3 | ❌ | ❌ | ❌ | ✅ | ✅ | ✅ | ❌ |
| AGPL v3 | ❌ | ❌ | ❌ | ❌ | ❌ | ✅ | ❌ |
| MPL 2.0 | ❌ | ❌ | ❌ | ❌ | ❌ | ❌ | ✅ |
注: ✅は「上段のライセンスで保護されたソースコードを、左列のライセンスの下で再配布できる」ことを示します。
